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【Interop Tokyo 2006 Vol.1】神様はなぜ地球をこのサイズに作ったか――村井純氏基調講演から


2006年6月7日

行って返ってきても400ミリ秒

神様は地球をこのサイズに作ったのはなぜか。展示会が7日から開催されているネットワーク関連の技術や製品・サービスのイベント、“Interop Tokyo 2006”の基調講演で、およそ技術的イベントに似つかわしくないナゾナゾのような話題が聴衆に投げかけられた。

黎明期から日本のインターネットを作ってきた技術者の1人、村井純氏(慶應義塾大学教授)は続けた。地球が円周約4万kmのサイズである理由――、「それは光ケーブルを使って人類すべてがコミュニケーションできるようにするために、神様が、ちょうどいいこのサイズにしたんじゃないかとすら、私は思う」。カミナリは光だけが先に届いて音は後からやってくる。光は音に比べて文字通り桁違いに速い。しかし、インターネットでは光と音が同時に届く。音声も、光の速度で地表を駆けめぐる時代がやってきた。光なら133ミリ秒で地球を一周する。大陸間を行って返って来ても300〜400ミリ秒だ。人類が初めて、地球上のすべての人とリアルタイムに顔を見ながらコミュニケートできる時代がやってきた。そう村井氏は力説する。

村井純氏
村井純氏(慶応義塾大学 環境情報学部 教授)

非圧縮、25GbpsのHDTV映像をIPで

地球サイズの話は、なにもSkypeとウェブカムを使って海の向こうの家族の顔が見えるという話ばかりではない。近年の通信技術と通信帯域の急激な向上によって、今や遠く離れた地点間でも、非圧縮のハイビジョン映像が送れる時代になったことも指す。これはすでに放送業界では現実に起こりつつある話で、「会場に展示されている映像や放送関連のネットワーク機器をご覧になってください。ハイビジョン映像をIPベースのネットワークで扱う機器が、たくさん出てきています」と村井氏は続ける。

今年1月から総務省主導で始まった“通信・放送の在り方に関する懇談会”のメンバーでもある村井氏は、こうした放送・映像機器のIP対応が、“通信と放送の融合”にドライブをかけることになると言う。「放送のネットワーク対応が遅れたのは、制度上や政策上の問題と言われることも多いが、私はむしろ、電波や映像をIPやデジタルに乗せる技術が未熟だったことが原因だと思う。懇談会で政策の議論をするときにも、まず“IPベースで”という共通認識がある。こんなことはインターネットが始まって以来のこと」と述べ、音声がVoIPでインターネットに統合されつつある現状に続いて、映像のやりとりもIPに集約されていく近未来について語った。

犬の遠吠えのような通信方式もある

無線通信技術の進展によって、従来考えられなかったような応用が登場する。

たとえば、クルマ。現在のクルマは4つの車輪の軸の回転数のズレから路面のグリップを検知することができる。これを後続車に無線通信で知らせることができれば、あらかじめ滑りやすい路面に対応した走行モードを選ぶなど対応が可能だ。こうした従来なかったタイプの自律型の制御を、村井氏は“ニュー・インテリジェンス”と説明する。「無線通信技術が普遍的になってくると、無線の使い方、電波のリテラシーとも呼ぶべきものが重要になってくる。電波で何ができるか、新しい使い方を子どもたちにも考えてほしい」。

無線通信で相互接続する端末は、必ずインターネットにつながっているとは限らない。そうした外部ネットワークから隔絶された、“MANET(Mobile Ad-Hoc Network)”の使い方についても、まだ未開拓の領域があるという。「たとえば、犬が夜にワオーンと遠吠えしますよね。あれは、特定の誰かに向かって送ったメッセージではないし、マルチキャストでもない。ポーンと投げて、それをたまたま受け取った犬がワオーンと反応する。そういうメッセージのやりとりもありえる。あるいは噂話。噂話が伝わるようなコミュニケーションスタイルを、インターネットでできないか。最近そういう研究が出てきたし、もっとあってもいい」。

日本から世界に技術発信を

「日本にはRFIDが読めるケータイが数百万単位で普及している。こんなすごい国は、ほかにはない」。村井氏はケータイや無線通信サービス、ブロードバンドの普及度といった日本は先進性を指摘する。「ある種の無線技術では、世界の通信業界に対する日本の貢献度は非常に高い。誰かがやるのを待ってるんじゃなくて、われわれがやるという意識をもって研究、開発していきましょう」。立ち見も出た満場の聴衆に向かって、村井氏は熱っぽく語りかけ、話を締めくくった。

(編集部 西村賢)


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